007 美しき獲物たち

007 美しき獲物たち

あらすじ

 ソ連国内でアメリカ製の半導体チップを持ち出した003が雪原で遭難。遺体から半導体チップを回収したボンドはソ連軍に追われるが、スキー&スノーボードで振り切って任務を果たす。

 003の死体から発見されたのはマイクロチップ。このチップは従来のものと違い、核爆発で発生する強力な磁気にも対抗できるものだった。製造元のゾリン産業が怪しいとにらんだ英国情報部はボンドにゾリンの内偵を命じる。そこでボンドはチップの製造元であるゾリン社を調査する。

OPテーマ:A View to a Kill

レビュー

007 美しき獲物たち

 長きに渡ってジェームズ・ボンドを演じたロジャー・ムーア。彼は自身の老いを受け入れ引退を決意した。ムーア・ボンドの最後の作品となった「美しき獲物たち」は彼の集大成である。激しいアクションはほとんど遠望で「あぁスタントが演じているんだなぁ」と丸わかりなのだが、そんなことはどうだっていい。ムーアの有終の美を飾ろうと、あえてジェットコースタームービーに仕上げたスタッフ一同アッパレといったところである。

007 美しき獲物たち

 まずはいつの間にか定着したスキーアクションで追手から逃れるジェームズ・ボンド。スノーボードもこなし、転がりながら飛びながらの連続で楽しませてくれる。行き着く先には美人エージェント。もちろん懇ろになってそのままOPの「A View to a Kill」が流れる。ファン垂涎の流れだ。僕は主題歌となったデュランデュランの名曲「A View to a Kill」が大好きだ。バラエティ番組「しゃべくり007」でもイントロが使われているので、若い人にも馴染みがあるだろう。

007 美しき獲物たち

 ボンドの今回の任務はソリン社の企みを暴く事。ゾリンの所有する競走馬がレースで常勝不敗なことを糸口に、物語は進んでいく。実はこの競走馬にICチップが埋め込まれており、コントロールしてステロイドを供給する仕組みなんだとか。僕は正直、この設定いるか?と思う。ICチップの独占のためにシリコンバレーを壊滅させる下りが、なんと競走馬でインチキをしていたことなんて…しかし、中盤の競走馬を使ったチェイスを見れば納得。これをやりたいがための設定と言われても文句は無い。力強い馬の快走は画になる。

007 美しき獲物たち

 ゾリン社の社長ゾリンはアカデミー助演男優賞 受賞のクリストファー・ウォーケン。頭のネジが取れた試験管ベイビーを的確に演じきっている。坑道で作業員である部下にウージーをぶっ放す姿は狂気そのもの。笑顔が素敵だが、こんな上司は持ちたくない。彼にとって人間はチェスの手駒と一緒。不要になったら切り捨てて目的を成就するのだ。

007 美しき獲物たち

 そのゾリンよりも不気味なパートナーのメイ・デイ。奇抜な髪型と何とも言えない顔つきは一度見たら忘れられない。現実にいたら真っ先にノーサンキューなのだが、ゾリンもボンドも彼女を抱く。ボンドは任務上いたしかたなし、といったところだがゾリンは好みに適っているのだろう。終盤までボンドの先々で邪魔をするのだが最終的にはゾリンの裏切りに憤慨し協力関係となる。怨みを募らせたまま爆発四散した。

007 美しき獲物たち

 今回は高所でのアクションが目立つ。しかも飛行機や崖といった少々現実味のない高所ではなく、エッフェル塔や巨大な橋の上など想像に難くない場所が多い。ハメ込み合成だとわかっていても、足のすくむような高さで繰り広げられる攻防は熱い。また終盤の湖決壊による流水もすごい。あのメイ・デイが思わず女性っぽい悲鳴をあげるのも頷ける。ちなみに演技ではなかったらしい。

007 美しき獲物たち

 小粒な秘密兵器が職人技を見せる今作。一風変わった転写機や盗聴器が登場し、地味ながら絶大な効果を発揮する。その中でも監視マシン「スヌーパー」を使ったラストシーンはムーアボンドのジョークが効いてニヤリとしてしまう。彼は最後までユーモアなスタイルを貫き通した。

007 美しき獲物たち

 これにてロジャー・ムーア政権の時代が終わる。あまりにも年のいきすぎたボンドとして、またアクション映画なのに主演のキレがないなどの理由で批判はあれど、僕はムーアボンドの中では美しき獲物たちが一番好きだ。年老いたからといってドラマに比重を置きストーリーを見せようとするのではなく、ジョークを交えてコミカルに軽快にキャラクターを徹底したプロの姿が見られるからだ。後半の市役所の火災から息つく間もないアクションの連続は007としての妥協が一切ない。

007 美しき獲物たち

 余談だが、この頃のロジャー・ムーアが亡き祖父に似ている。そういった意味で親しみもあったボンドだが、続くティモシー・ダルトンも魅力ある俳優だ。しかし、その話しは次に取っておこう。

007 美しき獲物たち

 コネリーの時代から、ボンドの良き理解者として影ながら支え続けてきたマネーペニー役のロイス・マクスウェルが今作で降板となった。マネーペニーを名乗るには高齢だからという本人の希望、だそうだ。マネーペニーはシリーズには欠かせないキャラクターの一人として、ボンドのように今後も役者を変えて登場する。しかし今のところマクスウェル並にチャーミングなマネーペニーは登場していない。可憐なドレスに身を纏い一つの時代が幕を閉じた。


007 美しき獲物たち

 メインのボンドガールはタニア・ロバーツ演じるステイシー。地質学者であり、ゾリンの買収にも屈しない聡明な人物だ。とても美しいブロンド髪だが、これは撮影用に染めたもの。どうやったらここまで美しく染められるんだろう。西洋人の髪質、恐るべし。

ミリタリー
※ここでは007が使用した銃火器を中心に紹介します。全部挙げてたらきりがない!

レミントン M870

007 美しき獲物たち

画像はエアガンの物。ショットガンと聞いて、これを思い浮かべる人も多いのでは?劇中では岩塩の弾丸を使っていたが、あまり威力はないようで、威嚇の効果を期待した代物だった。東京マルイからは夏にM870タクティカルが発売するが木製に換装できるキットも欲しいところ。

以上。次回は「007 リビング・デイライツ」になります。





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2013年07月26日 Posted by ビスコ  at 12:42 │Comments(0)007

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