007 ゴールデンアイ

あらすじ
ソ連崩壊前、ソ連の化学兵器工場に006ことアレックと共に侵入したボンドだったが、責任者のウルモフ大佐によりアレックが拘束されてしまう。ボンドはやむなく彼を見捨て秘密工場を爆破し、任務を達成した。
それから9年後。20世紀も終わりに近く、ソ連は既に崩壊していた。ボンドはモナコでロシアの犯罪組織「ヤヌス」のメンバーであるゼニアをマークしていたが、彼女と将軍になっていたウルモフは、対電磁波装甲を施したNATOの最新鋭戦闘ヘリコプター・タイガーを、デモンストレーションを行っていたフリゲート艦上から奪取・逃走する。
OPテーマ:GoldenEye
レビュー
僕が初めて見た007映画はこのゴールデンアイだった。恐らく僕と同じ世代の男がほとんど遊んでいたであろうニンテンドー64のソフト「ゴールデンアイ」を遊んだのが鑑賞のキッカケだ。故に日本で作品としての知名度はゴールデンアイが群を抜いている。未だにジェームズ・ボンドの顔を思い浮かべて、ピアース・ブロスナンを頭に描く人は多いはず。
しかし単にゲームが大ヒットしただけでは、ゴールデンアイは今日までファンの間で名作として語られてこなかっただろう。先に言ってしまうがゴールデンアイ以降のブロスナン007は凡作が目立ち評判も芳しくない。その一因としてゴールデンアイと比べられてしまっていることが挙げられる。この言い方はあまり好きではないが「007の人気を取り戻した映画」と囁かれているゴールデンアイの壁が高すぎるのだ。

ゴールデンアイはソ連の化学兵器工場での任務から物語がはじまる。007と006、2人のエージェントは破壊工作のために爆弾を設置するもあと一歩のところで006がウルモフ大佐に捕らわれてしまう。ボンドは任務を遂行するために単独で脱出。爆発する化学工場をバックにセスナ機を強奪して見事逃げ切る。このOPシークエンスは歴代でも屈指のアクションシーンだと個人的に思っている。スパイとしてのプロ意識とド派手でハラハラする演出が上手く溶け合い新生ボンドここにあり、と観客に示した。

時は流れて9年後。現実世界と同じくソ連が崩壊し冷戦は終わりを迎えた。新しくキャスティングされた女性のMはボンドを旧時代の遺物と言ってのけ嫌みたっぷり。しかし前任のMと同様、任務に関しては信頼を寄せている。ボンドは任務のため犯罪組織ヤヌスのメンバーであるゼニア、そして同じくメンバーであり化学工場で対峙したウルモフの追跡を開始した。

ボンドはヤヌスを追っていく過程で元同僚で死んだはずの006ことアレックと再会する。アレックは死を偽装しヤヌスのトップとして暗躍していたのだ。彼の目的は復讐、そして衛生兵器を使って世界を掌握する事。ボンドは出しぬかれヘリに拘束されるも見事脱出。しかしロシア政府に軟禁されてしまった。

モスクワの市外を戦車で逃走するという過去最大の目立ちっぷりのブロスナンボンド。共に軟禁されていたボンドガールのナターリアはヤヌスに連れ去られ、逃げながら救出に向かう。

間一髪で列車の爆発から逃れたボンド。彼とナターリアは決着をつけるべくキューバにいるアレックを追いかける。かつての仲間であり、今は敵対する二人。ボンドの決断はいかに?

ボンドをサポートし続けてきたQは、配役をデスモンド・リュウェインそのままに今作も登場。用意した秘密兵器はペン型爆弾に時計型レーザー銃と小ぶりながらも非常に効果的な物ばかり。また今作からボンドはBMWにも乗る様になった。アストンマーチンの愛好家やボンドファンからは不評だった模様…。

アレック役は若き日のショーン・ビーン。元々ボンド役で本作のオーディションを受けたのだとか。性格がイマイチ小物っぽいが、二枚目なのでブロスナンを喰わないようにした配慮なのだろうか。

ウルモフ将軍。化学工場の時は大佐だった。ロシア政府の人間でありながらヤヌスのメンバー。鷲鼻で特徴的な顔立ち。帽子が似合いすぎて帽子を取ると別人に見える。

悪のボンドガール、ゼニア。ゴールデンアイを初めて見た当時、小学生だった僕には彼女のエロすぎる行動に度肝を抜かれた。そして後年X-MENでジーン・グレイを好演、なんて幅広い女優だ。
ブロスナンボンドは5代目ボンドとして華々しいデビューを飾り、彼のキャリアに一層の箔をつけた。ただ悲しい事に彼のボンドとしての絶頂はこの時点で極めてしまった。コネリーと並ぶ最高のボンドとデスモンド・リュウェインが評したように、彼自身に非は無く作品に恵まれなかったのだから仕方ない。それもそのはずで、実はゴールデンアイをはじめブロスナンが携わったボンド映画は全てイアン・フレミングの原作では無いのだ。正統で純血のボンドイズムが途絶えてしまったといえる。そういった意味でゴールデンアイが奇跡的だと言えよう。オススメの一作である。

ボンドガールのナターリア。その活躍ぶりはボンドと比肩しても遜色がないほど。才能豊かなプログラマーで男勝りと、強い女性を体現したボンドガールだった。
ミリタリー
※ここでは007が使用した銃火器を中心に紹介します。全部挙げてたらきりがない!
FN ブローニングBDM

ベルギーのFN社傘下のブローニング製オートマチックピストル。ハイパワーといっても口径がやけにデカかったり、使用弾薬が特殊だったりするワケではない。装填数が13、ロングマガジンで20という大容量から付けられた名前。
AKS74U

俗に言うクリンコフ。カービンとして分類されるが、どちらかというと小型の機関銃という認識でいいと思う。発射レートがAKS74よりも速く取り回しもいい。某テロリストが使っていたりしたことから、あまりいいイメージを持たれていないような気がする。ボンドはこの銃をぶっ放しまくった。
56式自動歩槍

キューバにてヤヌスの一員が使っていた物を使用。ロシアの組織であるヤヌスがAKではなく56式を使うのは正規軍と差別化を図るためだろうか。しかしヤヌスが列車やゴールデンアイの管制センターを所有しているあたり、資金的に余裕そうなんだからわざわざ性能の劣る56式を採用しなくても…と思わんでもない。
以上。次回は「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」になります。