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007 ダイヤモンドは永遠に

あらすじ
日本、カイロなどブロフェルドの足跡を追うボンドが、遂に宿敵ブロフェルドを見付け、影武者共々殺害する。
Mからは休養も兼ねてしばらく地味な任務、南アフリカから発掘される大量のダイヤモンドが盗難され、何者かによって密輸され、闇市場にも出ずに消失している件の捜査につけと命を受ける。ボンドは、アムステルダムへ向かい、ダイヤの運び屋ピーター・フランクスと言う男に成りすまし、ティファニー・ケイスと言う女性に接触する。
OPテーマ:Diamonds Are Forever
レビュー
ショーン・コネリーの007復帰作となった第7作目のボンドムービー。主題歌を歌うのはゴールドフィンガーの主題歌を担当したシャーリー・バッシー。「Diamonds Are Forever」はパワフルながらどこか艶っぽい彼女の歌声にマッチした名曲だ。
ジェームズ・ボンドとして返り咲いたショーンだが、そのスタイルというか、頭髪というか、何というか。サンダーボール作戦あたりから見え隠れしはじめていた老化が、今作では決定的なものになってしまっている。贅肉が蓄えられ、頭髪もカツラ、両サイドには白髪が目立つ。皺も深くなり当時のメイク技術では補えない。しかし公開当時のショーンはまだ41歳。元々老け顔だから仕方ないのかもしれないが、体型は絞ってもらいたかった。
肝心の映画の内容といえば、残念ながら名作と呼ぶには程遠い出来上がりとなっている。本作ではダイヤモンドを巡って奔走するボンドというのがメインなのだが、短絡的でその場しのぎの行動が目立ち、一部始終ドタバタ活劇にしか思えない。ボンド自身も特有の余裕っぷりが影を潜め、強がってジョークを飛ばしているように見える。何より全体の構成が甘い、甘過ぎる。具体的には
・説明不足でエピソード間が飛びすぎている
例えばゲイの殺し屋コンビが老婦を殺害する動機が憶測でしか図れず、必要性も薄い。彼らの残忍性を映すだけなら冒頭の歯医者殺しで十分足りる。
・矛盾点が多く、行き当たりばったりな展開
ブロフェルドが女装して、ボンドガールのティファニーを車で連れ去るシーンの意味不明さといったらない。女装する意味→そんなに無い。シャム猫に気付いたティファニーが怪しんで車に接近→ブロフェルドが猫を飼っていて、首にダイヤモンドを付けているのを何故知っていたのか。ブロフェルドが見事ティファニーを拉致→お互い面識がないはずなのに何故ボンドの一味とわかったのか。
など、007としてではなく映画として破たんしている部分が多い。そのせいで緊張感が損なわれてしまい、大味な印象しか残らないのだ。反面、全体の骨組みや細かいシーンは光るものがあるものだから、余計残念に思える。
ボンドが保安官と繰り広げるカーチェイスは「女王陛下の007」の時よりも迫力、技巧が一段と増した。特に駐車場でパトカーを次々にあしらっていくのは非常にかっこいい。秘密兵器を駆使して高層ビルの壁にターザンジャンプするシーンもスパイっぽさ抜群。賛否が分かれているが、ジョークを飛ばして煙に巻く軽やかさも嫌いじゃない。その他端々に小技が効いており、Qがスロットする姿なんか微笑ましくて大好きだ。ダイヤモンドパワーで衛生からレーザー照射!という計画はスケールが大きくて、悪の組織スペクターの名に恥じない。(そもそもダイヤモンドを使ってマネーゲームした方が早いしリスク少なく稼げるだろ…といったツッコミはなしで)それに何と言っても「巨悪スペクターの陰謀を防ぐ007!」という王道がファン心をくすぐる。
ショーン・コネリーのボンド卒業作としては、なんとも言い難い映画となってしまった本作。当時のエピソードを聞くに、本人のモチベーションも低かったのかもしれない。世では「女王陛下の007」リメイクの声が大きいが、僕は断然「ダイヤモンドは永遠に」を推す。シーンを添削し、登場人物の設定を見直す。そして全盛期のショーン・コネリーに演じてもらうのが最善だが、それは永遠に叶うことのない儚い夢だ。
そして最後にブロフェルドに一言。
「お前ホントは007のこと好きだろ」

ボンドガール、ティファニー・ケイスは「ダイヤモンドは永遠に」の荒唐無稽っぷりの象徴だと思う。初登場時は密売人として警戒心の強いプロの印象を受けたのだが、中盤は金の亡者、後半はドジっ子、と全編通して違う人物じゃないのか疑ってもいいほど。
ミリタリー
※ここでは007が使用した銃火器を中心に紹介します。全部挙げてたらきりがない!
ワルサーPPK(画像はPPK/S)

撃ってない。そもそも銃撃戦に参加してない。そんなボンドは今回肉弾戦が熱い。特にエレベーターでの格闘シーンが痺れる。プールでのコントは無かった事に…。
次回は「007 死ぬのは奴らだ」になります。
5/26(日)の定例会レポinAGITO
最近、自分でも「007のレビュー書く為にブログ始めたんだっけ?」と錯乱状態だった僕です。約2カ月の沈黙を破り、とうとうサバゲに行ってまいりました。場所は地元山梨が誇る大型インドアフィールドAGITO!
近場のフィールドはいいですね。なんせ出発が7:00でもスムーズにフィールドインできる。この日もGBメンバーで意気揚々と出向いたぜ!
「キャリアが一番浅いのにエース 弟」写真左
「HITコールがうるさいリーダー ナマチュー(僕)」写真右

「動画撮影に喜びを見出した相棒 シキ」(以前の写真を流用)

別にイカレてもないし患ってもいない普通のお兄ちゃん達ですが、気分は戦線を闊歩する凄腕ソルジャー。みんな久しぶりのゲームに「撃ちまくってやるずぇ~」と気合十分。

そしていざゲーム開始!となったのですが、それはもう普通に楽しいゲームでした。HITを取ったり取られたりで、大した活躍も失態もせず安定した展開。この日はSCAR-HとSVDのお披露目戦だったのですが、どちらも素直な弾道で扱いやすかったです。特にSVDは意外なほど。もちろんインドアなので取り回しは最悪でしたが「すないぱーらいふる」の名に恥じない命中率でたいへん気持ち良くなれました。

見て下さいこの気持ちよさそうな顔(シキがゲーム中に撮影)。またゲーム前に何度か「お、ドラグノフだカッケー」という声をかけていただいたので、興奮MAX絶頂寸前といったところでしょうか。
あまりにも気持ち良すぎて口が半開きです
気持ち悪い
さて日曜日の定例会ということで大盛況だった当日のAGITO。人数が100名に迫る勢いだったそうな。また初サバゲの方も多く、少々各地で渋滞気味でした。全体を通してそれを上手く刈り取るベテラン勢が無双という印象。
とあるゲーム中、ふと近くにいた味方に「中央挟んで墓地側に二人ほどいて進めないですね。はす向かいのビル棟からも狙撃されてて動きづらいし困りました(ニッコリ)」と話しかけたところ「はぁ、そうですか」と気のない返事。見るとレンタルガンを握りしめた初心者の女の子。せめて君だけでも…!なんて気は起きずそそくさと場所変えた先にも膠着している初心者の方。こういう時に状況を打破してみんなを先導できるテクニックが欲しい。
そんなこんなで久しぶりのサバゲは無事終了。怪我もなくよかったよかった。そして今後の課題も見つかったので、次回に活かしたいですね。恐らく6月は平日の定例会に参加すると思います。人数が少なく味方との連携が非常に重要になるはず。新たに装備を整えて時期を待ちます。
最後にコチラの写真を。

なぜかこの日の髪型が、よりにもよって変態分け。でもどこかで見たことある髪型だな~と思ったら

バイオハザード3/カルロス・オリヴェイラ
(髪型だけ)完全に一致。
近場のフィールドはいいですね。なんせ出発が7:00でもスムーズにフィールドインできる。この日もGBメンバーで意気揚々と出向いたぜ!
「キャリアが一番浅いのにエース 弟」写真左
「HITコールがうるさいリーダー ナマチュー(僕)」写真右
「動画撮影に喜びを見出した相棒 シキ」(以前の写真を流用)
別にイカレてもないし患ってもいない普通のお兄ちゃん達ですが、気分は戦線を闊歩する凄腕ソルジャー。みんな久しぶりのゲームに「撃ちまくってやるずぇ~」と気合十分。

そしていざゲーム開始!となったのですが、それはもう普通に楽しいゲームでした。HITを取ったり取られたりで、大した活躍も失態もせず安定した展開。この日はSCAR-HとSVDのお披露目戦だったのですが、どちらも素直な弾道で扱いやすかったです。特にSVDは意外なほど。もちろんインドアなので取り回しは最悪でしたが「すないぱーらいふる」の名に恥じない命中率でたいへん気持ち良くなれました。

見て下さいこの気持ちよさそうな顔(シキがゲーム中に撮影)。またゲーム前に何度か「お、ドラグノフだカッケー」という声をかけていただいたので、興奮MAX絶頂寸前といったところでしょうか。
あまりにも気持ち良すぎて口が半開きです
気持ち悪い
さて日曜日の定例会ということで大盛況だった当日のAGITO。人数が100名に迫る勢いだったそうな。また初サバゲの方も多く、少々各地で渋滞気味でした。全体を通してそれを上手く刈り取るベテラン勢が無双という印象。
とあるゲーム中、ふと近くにいた味方に「中央挟んで墓地側に二人ほどいて進めないですね。はす向かいのビル棟からも狙撃されてて動きづらいし困りました(ニッコリ)」と話しかけたところ「はぁ、そうですか」と気のない返事。見るとレンタルガンを握りしめた初心者の女の子。せめて君だけでも…!なんて気は起きずそそくさと場所変えた先にも膠着している初心者の方。こういう時に状況を打破してみんなを先導できるテクニックが欲しい。
そんなこんなで久しぶりのサバゲは無事終了。怪我もなくよかったよかった。そして今後の課題も見つかったので、次回に活かしたいですね。恐らく6月は平日の定例会に参加すると思います。人数が少なく味方との連携が非常に重要になるはず。新たに装備を整えて時期を待ちます。
最後にコチラの写真を。
なぜかこの日の髪型が、よりにもよって変態分け。でもどこかで見たことある髪型だな~と思ったら

バイオハザード3/カルロス・オリヴェイラ
(髪型だけ)完全に一致。
女王陛下の007

あらすじ
宿敵ブロフェルドを捕らえることを目的としたベッドラム作戦を遂行中のボンドは、ポルトガルで偶然トレーシー(テレサ)という若い女性と知り合った。美しく、そして車の運転やギャンブルなどで大胆な行動力を見せる彼女に、ボンドは興味を抱く。
彼女は犯罪組織ユニオン・コルスのボスであるドラコの一人娘だったが、不安定な生活を送る彼女の身を案じたドラコは、ボンドにテレサと結婚してくれるよう頼み込む。ボンドはこの機会を利用し、ドラコからブロフェルドの情報を得ようとするが、いつしかテレサ(トレーシー)に本心から惹かれてゆく。
OPテーマ:On Her Majesty’s Secret Service
レビュー
恐らくボンド映画の中で最も議論され、賛否が分かれる「女王陛下の007」。ギャラ問題で降板となったショーン・コネリーに代わりジェームズ・ボンドとなったのはジョージ・レーゼンビーだ。オーストラリア出身のモデルで、俳優としては今回がデビュー作品となった。彼の撮影エピソードは書くに事欠かないのだが、それはあくまでスクリーン外の話である。純粋に映画として楽しめるかどうか、という点でレーゼンビーは十分及第点だったことを、まず最初に述べておこう。ショーン・コネリーという巨頭を前によく健闘したし、それは近年再評価されていることにも表れている。諸事情で彼がボンドを演じた作品が今作のみなので、少々レビューが長くなってしまうのはご容赦願いたい。
さて「女王陛下の007」は「ドクター・ノオ」の項でも少し触れたようにボンド作品の中では異色だといえる。奇抜な秘密兵器が登場しない、主題歌がインスト、そして何といってもボンドが結婚をする驚きの展開が他に類を見ない。ただボンドが結婚というストーリーはしっかりと原作に準じているし、後年のカジノ・ロワイヤルにおいても本気の恋愛をするボンドが描かれている。ボンドという人間が国家に殉じるだけの冷徹なエージェントではないことがわかる大切なエピソードだ。それにしてもボンドが結婚!?とド肝を抜かれた人は多いだろうが。
異色たる所以は他にもある。迫力を出すために多用されすぎた低速度撮影アクションや、ボンドがスペクターに次ぐ犯罪組織の頭領ドラコと手を組むなど他のシリーズでは見られない要素が満載だ。まさにボンド映画から脱線している、という見解は概ね正しい。興行収入を見ても観客に受け入れられなかったことは明らかだ。では果たして「女王陛下の007」が駄作か、と問われればそうではない。まず全編に亘る大掛かりなアクションシーンは見ごたえがかなりある。レーゼンビーの長身が繰り出すキレた格闘、ボンド自身は運転しないものの赤いフォード・マーキュリー・クーガ・コンバーチブルが失踪するカーチェイスは迫力たっぷり。そして目玉であるスキー、ボブスレーの逃走、追走劇は今見ても手に汗握るものがある。音楽も素晴らしく、本作のテーマソングを「ここぞ」という場面で使い、見ている者を高揚させる。挿入歌にはルイ・アームズトロングを使う力の入れようだ。さらに140分という長編ながら中だるみが無い稀有な映画であり、正直「007」の名を冠していなければ上映当時の評価も変わっていたと思われる。
しかし、やはり69年映画。今見るとツッコミたくなるような場面も多々ある。まず本作でも立ちはだかる犯罪組織スペクター。なんと今回は「007は二度死ぬ」に続きブロフェルドと直接対決となる。が、ブロフェルドはボンドの顔を覚えていない。対面したときに気付いていないフリをしていたと思うかもしれないが、実はそうではない。原作の時系列で言えば「007は二度死ぬ」の方が後に来るので顔を知らなくて当たり前なのだ。ただ僕のように映画だけを追っかける人にとって、そんな事情はわかるはずもなく「おいおい悪事に忙しすぎて記憶が混濁しているのか」と失笑を禁じ得ない。またスキー、ボブスレーのシーンも何とブロフェルド自身がボンドを追いかけ追い回されるというのだから驚きだ。組織のトップがスキーを駆使して一諜報員と追いかけっことは、誰か止めてやれよと言いたくなる。また各シーンのカット割が多く見ていて疲労を覚えるのもいただけなかった。
総評すると「女王陛下の007」は「007でなければ大成した映画」と言える。キャリアのないレーゼンビーのぎこちない演技は、もっと経験を積でいたら化けただろうしショーン・コネリーという前任者の存在が無ければ比較されることも無かった(加えてインナーマッスルを鍛え、泥臭い部分も見せられるようになっていればなおOK)。映画自体もショーン時代と差別化する試みが見られたが、そんなものは「ボンド映画の様式美」から外れていると、ファンから非難を受けた。なぜならその姿を築き上げたのが「ボンド映画」自身なのだから当たり前だ。何度も言うが本当にボンド映画であることが悔やまれる。僕もボンド映画としては好きになれないが、アクション映画としては好きな部類に数えている。

ボンドとブロフェルドの対峙。レーゼンビーは横顔が素敵だが、正面からはう~ん。ただ最後の悲しみに暮れるシーンはよかった。

少々破天荒なだけでボンド結婚!の割りにキャラが薄いボンドガール、テレサ(トレーシー)。もしかしたらボンドは、そんな素朴さに惹かれたのかもしれない。
ミリタリー
※ここでは007が使用した銃火器を中心に紹介します。全部挙げてたらきりがない!
ワルサーPPK(画像はPPK/S)

主演が代わっても相棒は代わらず。テレサ(トレーシー)に奪われるなど一々落ち着かない。もしかしたら劇中で一発も撃ってないんじゃないか?
スターリングMk.4(ジャックさんにご指摘いただきました)

ボンドが捕らわれたテレサ(トレーシー)を救出する際に使用した。イギリス発の短機関銃でバリエーションも豊富。調べると今後の007シリーズでも幾度か登場する。劇中でボンドには珍しい弾切れを起こしブロフェルドを仕留め損ねた。
以上。次回は「007 ダイヤモンドは永遠に」になります。
久し振りの買い物

久し振りにミリ的な買い物をしました。と言っても米国旗リバースタイプのワッペン、ODカラーのシャツだけですが。両方ともBHD装備に使うものですね。とくにワッペンは欠かせないアイテムなので、やっとといった感じ。
最近007の話題ばかりでしたが、BHD愛はもちろん健在です。ただ次のサバゲはPMCで行こうかな~、っと。SVDに加えてSCARも買ったし。BHD装備は来月かな~。
007は二度死ぬ

あらすじ
アメリカとソ連の宇宙船が謎の飛行物体に捉えられるという事件が起こり、米ソ間が一触即発の状態になるものの、イギリスの情報機関である MI6 はその宇宙船が日本周辺から飛び立っているという情報をつかむ。その情報の真偽を確かめるために、ジェームズ・ボンドがMI6により日本に派遣されることになる。
OPテーマ:You Only Live Twice
レビュー
ジェームズ・ボンドはその長い歴史の中で幾度か迷走する。その迷走第一弾なのが今作「007は二度死ぬ」だ。タイトルはどこかミステリアスで、サスペンス調。しかも舞台は日本ときたら期待値は上がるというもの。しかし蓋を開けてみると荒唐無稽なSFアクション映画というのだから、その層はミルフィーユよりも複雑だ。
この映画はツッコミ所に溢れている。ここに挙げるとキリがないくらいだが、どうしても言わせていただきたい部分だけ述べよう。
まず出だしからぶっ飛んでいる。宇宙にて飛行する米ロケットを未確認物体が鹵獲するシーンだ。船外活動を行っていた宇宙飛行士はロケットと命綱で繋がれていたのだが、鹵獲された際ロープが千切れてしまう。その時の効果音が「キュポン」である。「キュポン」って…栓を引っこ抜く場面以外で初めて聞いた。
その後舞台は移り香港で任務を行うボンド。ベッドがくるん→マシンガンがドバババッ(想像してお楽しみください)、と偽装するために死んだフリをするのだが、往年のスパイのやり口として疑問を抱いてしまう様な死に方だ。いや、これはまだいい。問題はその死を新聞にて公表したことだ。MI6の諜報員という立場上、公表するものではないはず。敵(今回もスペクターなのだが)を欺くといっても、こんなバレバレのフェイクに誰がかかるというのか。
そんなこんなで日本に来て相撲を観戦して、日本の秘密警察のトップ・タイガー田中(名優・丹波哲郎!)に出会い、彼の協力の下に大里化学本社という名のホテルオークラへ潜入、「ニンポー(忍法)」という船を巡って追いかけっこしたり捕まったり。その後生還したボンドは火山口を捜索、そして姫路城で忍者の修行(3日ほどのスピード講習)をして海女と偽装結婚、未確認物体が格納されている秘密基地へ向かう。色々省いて書いたのだが、これだけでもツッコミ所が目白押しだ。
そう、この映画には忍者が登場する。誤った日本への認識が生んだ喜劇だ。しかも忍者とは名ばかりで実際は空手、剣道、そして銃火器の訓練に明け暮れている。申し訳程度に手裏剣を練習しているが、劇中で実戦に用いたのは訓練描写の無かったボンドとタイガー田中いう変化球。最終決戦でも忍者軍団は銃撃戦に終始していた。忍べよ。
極めつけは日本人に変装するボンド。カツラを被ってホリを埋めただけで溢れ出る英国紳士の香りはごまかせるはずもない。しかし、それ以上に変装した意味が全く無いことが問題だ。変装後に暗殺されそうになるし、火口基地に潜入する際も海路を使い人目につかないから見た目は関係ないし…スタッフの悪ノリとしか思えない。面白いからいいけど。
とんでも内容に目が奪われがちだが、何と本作でスペクターの頭領ブロフェルドが素顔をお披露目。右目のキズが無ければ人の良さそうなオジサンだが、今後もボンドと敵対する宿敵としての貫禄はある。そもそも今回のスペクターの目的は「米ソの宇宙ロケットを秘密裏に鹵獲し、両国に疑心暗鬼を持たせ戦争を引き起こす」というもの。その鹵獲用宇宙船を日本から打ち上げていたのだが、ブロフェルドが日本にいる必要性が感じられない。組織のトップなのに重要な案件をだから、と自ら陣頭指揮する。前作のラルゴもそうだが、一企業としてスペクターは理想の職場のような気がする。無論、命の保障がない点を除いて。
ボンドが運転しないボンドカー「トヨタGT2000」もさることながら、Qの秘密兵器「リトル・ネリー」がいい味を出しまくっている。小型のオートジャイロなのだが、機銃・ロケット・投下爆弾・火炎放射器と小ぶりな機体に似合わない装備が搭載されていて、一体どうやって飛行しているのか疑問だ。さらに問題なのは燃料である。本土から飛び立って離島を回遊したのちに敵と交戦して帰ってくるスタミナには驚かされた。Qの発明品の中でコレが一番凄いんじゃないだろうか。組み立ては手動だし。
全編にわたり和と洋の文化が殴り合いの喧嘩をしているような映画だが、ネタとして相当楽しめる。ボンド映画は「名作」「ネタとして笑える迷作」「ネタとしても笑えない怪作」に大別されている、というのが僕の持論だ。そこに来て「007は二度死ぬ」は、いつ見ても笑えるネタ映画として話題に事欠かない。正直、今回のレビューだって書き足りないことだらけだ。
そもそも前作までのシリアス寄りの路線は、当時の映画志向からやや時代遅れとなってしまっていた。世間は痛快活劇を求めていたし、ボンドとて商業作品なので逆らうことはできない。また興業的にも前作以上のスケールで展開する必要があった。宇宙や火山を舞台にした事で技術が伴わず、SFチックな割に滑稽な映像や演出だったのもそういった事情があるからだ。ボンドが本作において、これまで以上にジョークを飛ばすのも時流に乗ったことに過ぎない。イアン・フレミングの原作でも日本が曲解された姿で登場しているあたり、むしろ映画的に解釈した演出を盛り込んでいる秀作とも捉えられる。
普段あまり変装しないボンドが漁夫になったり浴衣を着たり袴姿になったり、片言の日本語を喋ったりと一々見所がある本作。ショーン版ボンドはこれを期に斜陽化していくのだが、「007は二度死ぬ」そして後にの「ダイヤモンドは永遠に」のユーモラスなボンドが後年のロジャー・ムーア版ボンドに多大なる影響を残し、見事ボンド映画は返り咲くこととなる。なるほど、駄作の一言で片付けられない魅力があるのもまた事実だ。日本人にこそ見て、笑ってもらいたい一品である。ちなみに海外ではこの映画、どういう扱いなんだろう…。

本作の真打ボンドガールであるキッシー鈴木。「なぜか劇中でほとんど名前を呼ばれない」「海女である」「火口基地へ乗り込む際にビキニ」と、歴代ボンドガールの中でも色物臭が半端では無い。出会った頃はボンドを拒絶していたものの、最後はしっかり男女の関係になったようで良かった良かった。
ミリタリー
※ここでは007が使用した銃火器を中心に紹介します。全部挙げてたらきりがない!
ワルサーPPK(画像はPPK/S)

ブロフェルドが「この銃を使う男はただ一人。ジェームズ・ボンドだ」と言うあたり、かなりボンド=PPKというのが知れ渡っている模様。それでいいのかスパイ?今作でも中盤までの活躍なのだが、発砲回数は今までで一番多いのではなかろうか。
RSAF エンフィールドNo.2

火口基地で敵から奪ったダブルアクションのリボルバー銃。この銃はウェブリー&スコット社のウェブリーMkVIをパクって、裁判まで起こされたというのだから権利問題がカオスなボンド映画と相性は良さそうだ。意外?にもボンドがリボルバー銃を扱うのはこれが初めて。木製グリップとシンプルな銃身がいい味を出している。
以上。次回は「女王陛下の007」になります。
007 サンダーボール作戦

あらすじ
原子爆弾2発を搭載したNATO空軍のヴァルカン爆撃機が訓練中に消息を絶ち、その後犯罪組織「スペクター」が奪った原爆と引き換えにNATOに対して一億ポンド相当のダイヤモンドを要求してきた。英国情報部は00要員全員に調査指令「サンダーボール作戦」を発令。ボンドはバハマのナッソーへ飛び、そこで爆撃機に搭乗していたNATO空軍少佐の妹ドミノに接近する。ドミノの後見人ラルゴは、実はスペクターの幹部として爆撃機奪取を指揮した男だった。ボンドは命がけで核爆弾を捜索する。
OPテーマ:Thunderball
レビュー
「一度も007を観たことがないんだけど、オススメは何?」そう聞かれたら、僕は間違いなくこのサンダーボール作戦を推す。個人的には、この映画こそ良くも悪くもスタンダードなボンド映画だと思っている。初期三部作で確立したモノを全て詰め込んだのだから当然と言えば当然だろう。この映画を観て楽しいと思えれば、ほとんどのボンド映画を好きになるはず。反対にこの映画を観て引っ掛かるものがなければ、グレッグとブロスナン作以外は退屈に思えるかもしれない。まさに007のリトマス試験紙と言える映画だ。
さて今作は「ロシアより愛をこめて」で対峙した国際犯罪組織スペクターと007が再び相見える。スペクターNo.2のラルゴによる原子力爆弾を用いた脅迫、そしてテロ行為を防ぐのが今回の任務だ。ややスケールの小さかったゴールドフィンガーに対し、サンダーボール作戦はフランス、バハマを駆けて海を巡ると大活劇に仕上がっている。また水中のアクションシーンが多用されており、水の抵抗をモノともしない交戦風景は圧巻だ。
お馴染となる秘密兵器も「よっ、出ました!」と胸躍る品の数々。特にロケット・ベルト(ジェット・パック)で飛来する姿はある種感動すら覚える。是非、映像でご覧いただきたい。ボンドカーはDB5が続投ながらも、序盤の活躍のみで少し物足りない感がある。まぁ活躍させるなら海に潜るくらいの仕様が必要か…と、それはまた別のお話。
ボンドが秘密兵器を駆使して活躍する一方で、今作の敵であるラルゴも負けていない。時速40キロの水中翼船ディスコ・ヴォランテ号、ビート板を彷彿させる水中戦車。スペクターの科学力も侮れない。さらにラルゴ自身にアイパッチ、サメ、破滅型ギャンブラー、現場至上主義(自ら最前線に赴いて任務を遂行する上司の鑑)の幹部と面白いキャラ付けがされていて、僕も結構お気に入りだったりする。
以上のことからボンド映画らしいド派手なスパイ映画として、前作のゴールドフィンガーの成功もあって興行収入は歴代でトップクラス。以後ボンド映画は一時代を築き上げることになる。しかしボンド映画の悪癖である「散見される冗長なシーン」「説明不足な展開」も影を落とし、視聴者を篩いにかける一因となってしまった。特に今作における目玉「水中戦」が後半において食傷気味だったのが痛い。また冒頭のフランスでの任務~療養先における一連の流れは、一度見ただけで把握しづらいと言わざるを得ない。
これらを踏まえて果たしてこの映画が面白いか否かは視聴者に委ねられる所であり、やはりボンド映画の入口としては最良だろうと、本作を見返して改めて思った次第だ。なお「ドクターノオ」「ロシアより愛をこめて」で監督を務めたテレンス・ヤングは本作が最後のボンド映画となった。ファンとしてはもう一作テレンス・ヤングの手がけたボンドを観たかったが、今ではそれも叶わない。

本作のボンドガールの一人「フォオナ」はスペクターの一員で、ボンドに色仕掛けをして陥れようとする。見事ベッドを共にした翌朝にボンドを捕縛すると「女をベッドで改心させてきたボンドも型なしね」と嫌味たっぷり。しかし我らがジェームズ・ボンドは「うぬぼれるな。お前と寝たのは国家への奉仕精神で、忠義の為だ」と言ってのける。ボンドにしか許されない台詞、最高にカッコイイ場面だ。ちなみにフォオナは大変豊満なバストの持ち主で僕好みである。
ミリタリー
※ここでは007が使用した銃火器を中心に紹介します。全部挙げてたらきりがない!
ワルサーPPK(画像はPPK/S)

前回まで言及しなかったのだが、必ずと言っていいほど毎作品PPKを紛失するボンド。サンダーボール作戦でも例外なく離れ離れに。捕まる→PPKを取り上げられるの様式美は今後も続きます。
ブローニング オート5
どこで使用していたのか忘れてしまいました。レンタルしたブルーレイは返却済みなので、知っている方教えて下さい。う~んヘリからサメを狙撃するシーンだったような気がする…。
<追記(ジャックさんより情報提供)>
ラルゴ邸に招かれたときにクレー射撃で使用した銃です。散弾銃て時点でクレーと気付くべきだった…それにしても腰で撃って事もなげにクレーに当てるボンドといいラルゴといいフォオナといい、オリンピック選手もびっくりの腕前だ。
以上。次回は「007は二度死ぬ」になります。
007 ゴールドフィンガー

あらすじ
メキシコで革命家ラミレスの工場を爆破したジェームズ・ボンドは、襲ってきたラミレスの手下をバスタブで感電させ返り討ちにした。その後ボンドはマイアミへ飛び、ホテルで富豪のオーリック・ゴールドフィンガーが行っていたカードゲーム(ジン・ラミー)のイカサマを妨害して、彼の手伝いをしていたジル・マスターソンと親密になる。だが、ボンドはゴールドフィンガーの部下オッド・ジョブに襲われ気絶し、その間にジルは裏切りの報いで全身に金粉を塗られて殺されてしまった。
OPテーマ:Goldfinger
レビュー
耳に残るゴ~ルドフィンガ~(パララララー)の主題歌が印象的なボンド映画第三作。歴代でも名作に数えられ、ショーンコネリー初期三部作でボンドは完成した、とする人もいる。まさにホップ(ドクター・ノオ)、ステップ(ロシアより)、そして本作のジャンプで映画界の上位へ躍進したと言える。
ゴールドフィンガーは前作より一層コミカル、SF色を強くして「色物の部分もありながらクール」なボンド映画の原本ともいえる内容になっている。本格的に秘密兵器を搭載したボンドカーも初登場。Qが自分の息子を紹介するように機能を紹介していくシーンは歴史の幕開けであり、今見返しても感慨深いものがある。またボンドカーと聞いて、今作の丸みを帯びた独特な流線のアストンマーチDB5を思い浮かべる人も少なく無いだろう。
ボンドの脇を固めるキャラクターも粒ぞろいだ。グランドスラム計画を企むゴールドフィンガーは、どこか小物臭がしてどこか憎めない愛すべき(?)悪党。その部下のオッドジョブは強敵に苛まれてきたボンド史において一際異彩だ。公開当時まだ東洋の人間に対しどこかミステリアスな印象を抱いていた西洋人らしいキャスティングが当たった。終盤の格闘シーンで小兵のオッドジョブが007を圧倒するのはさぞ驚いたろう。
ボンドガールも前作までの「ボンドに守ってもらう」だけの女性像から一新された。プッシー・ガロア、マスターソン姉妹ともにボンドと対等な目線で立ち振る舞い、男尊女卑の時世にあっては物珍しかったに違いない。ガロアは今でも人気のあるボンドガールなのだが、さんざん強弁に出ていながらベッド(厳密には干草)でボンドに篭絡されたギャップがよかったのだろうか。そう考えると、男としては益々ボンドが羨ましくなる。真のゴールドフィンガーはジェームス・ボンドなのかもしれない。
さて、ここまで手放しで褒めちぎってきたゴールドフィンガーだが個人的には消化不良の部分が少なからずある。まず「ロシアより愛をこめて」で四方を飛び回ったボンドに対し、今作では中盤に一度捕まってからの拘束時間がやけに長い。小細工を弄すものの、結局山場であるフォート・ノックスまでは活躍らしい活躍を何もしていない。また後半の展開が駆け足気味で、やけにあっさり気味に感じてしまう。ガロアが寝返るどんでん返しも賛否が分かれるところだろう。
しかしゴールドフィンガーとのゴルフ対決や、DB5でのカーチェイスなど見せ場は山ほどある。ボンドのカッコよさは健在で、小難しいことを考えずに鑑賞できる娯楽映画の良作には違いない。

このシーンは様々な作品のオマージュに使われている。有名であると同時に、金粉で皮膚呼吸ができなくて死に至るという誤認も広めてしまった。
ミリタリー
※ここでは007が使用した銃火器を中心に紹介します。全部挙げてたらきりがない!
ワルサーPPK

車のドアを盾に銃撃戦を繰り広げた以外あまり印象が無い。メインウェポンの活躍としてはイマイチだった。さて前回の記事にて指摘されたとおり、写真の銃はPPKではなく、米向けにサイズを大きくしたPPK/Sである。実は現行のガスガンとしてラインアップされているPPKはゼロ。マルシンのPPKを探してもいいがノンブロのモナカ銃ということで購買意欲が湧かず、そうなると007装備の際はマルゼンのPPK/Sを起用することになる。その説明用に用意していた画像なのだが、PPKの丁度いい写真がなかったのでPPK/Sの写真を流用していたのだ。見破ってくれたのは、同じくボンドファンとして嬉しい。というわけでマルゼンさん、そろそろPPKを作ってください。
ワルサーP38

お馴染みルパン三世の愛銃が本作に登場。看守から奪い取って約10分ほどボンドの愛人に居座ったが本家PPKの怒りに触れ(?)あえなく没収。しかし本当ワルサーが似合う男だ。
以上。次回は「007 サンダーボール作戦」になります。